
2026年1月14日、小型衛星の開発・運用および地球観測データ事業を手がけるアクセルスペースホールディングス は、2026年5月期第2四半期の決算説明資料を公開した。
同社は東京大学発の宇宙ベンチャーとして、事業会社である株式会社アクセルスペースを中核に成長を遂げてきた企業であり、2025年8月に東京証券取引所グロース市場へ上場した。上場後は防衛・政府案件を含む中長期プロジェクトへの対応力を高めている。
本記事では、同社の決算資料をもとに、アクセルスペースホールディングスの成長戦略と将来性について解説する。
目次
アクセルスペースのPROFILE
株式会社アクセルスペースは、2008年に設立された東京大学発の宇宙ベンチャーである。小型地球観測衛星の開発・製造から運用、データ提供までを一貫して手がけている。
自社衛星による光学地球観測データを提供する「AxelGlobe」事業を中核に、農業、インフラ監視、防災、環境分野など幅広い用途で実績を積み重ねてきた。
また、量産型小型衛星の設計・製造を行う「AxelLiner」事業を通じて、国内外の官民顧客に衛星ソリューションを提供。
日本の小型衛星産業を代表する企業の一社として、商業宇宙の拡大を牽引している。

アクセルスペースの成長戦略と将来性
アクセルスペースが予測する2026年5月期の通期業績は下図の通りである。

2026年5月期 第2四半期の決算内容
同社が発表した 2026年5月期 第2四半期(2Q)決算では、積極的な投資フェーズが継続する中にあっても、受注残高の拡大や事業基盤の強化といった面で着実な進展が見られる内容となった。
第2四半期(2Q)の業績では、純損失は約22億円となり赤字が続いているものの、これは防衛・政府案件や将来のコンステレーション展開を見据えた研究開発費、人材投資の拡大によるものであり、戦略的な先行投資の側面が大きい。
売上高(2Q)は約5億6,000万円となり、前年同期比では減少したが、同社としては防衛省関連事業をはじめとする重要案件を中心に、計画どおり事業が進捗している状況といえる。
一方で、受注残高は約105億円まで拡大しており、前年同期比でも大きく増加した。これは単発案件ではなく、複数年にわたる運用・データ提供を前提とした案件が積み上がっていることを示しており、中長期的な売上成長に向けた視界は着実に開けつつある。
なお、EBITDAはマイナスではあるものの、補助金収入を含めた資金調達環境と事業パイプラインを踏まえれば、現在は収益性よりも事業基盤の構築を優先する段階と位置づけられる。
総じて今回の決算は、短期的な損益面では赤字が続くものの、受注残の積み上がりや防衛・政府案件への関与を通じて、将来の収益化に向けた土台が着実に整いつつあることを示す内容となった。
事業の進捗状況
アクセルスペースの事業は、衛星開発・運用基盤を担うAxelLiner事業と、地球観測データを提供するAxelGlobe事業の二本柱で展開されている。以下では、それぞれの事業について直近の進捗状況を整理する。
AxelLiner事業
AxelLiner事業は、衛星の設計・開発・製造から打上げ、運用支援までを一貫して提供する基盤事業であり、同社の技術力と事業拡張の土台を担う領域だ。
当第2四半期においては、政府・防衛関連案件を含む複数のプロジェクトが進行しており、将来のコンステレーション運用を見据えた量産対応力や運用ノウハウの蓄積が進められている。加えて、軌道上実証サービスの提供を通じて、他社の宇宙機器・コンポーネントの実証ニーズに応える取り組みも継続している。
また、打上げ枠の確保や地上局ネットワークとの連携を含め、衛星を継続的に運用するためのインフラ整備にも注力しており、単発的な開発受託から、長期的な運用ビジネスへと事業モデルを進化させる段階にある。AxelLiner事業は、今後の衛星展開数増加に対応するための「基盤構築フェーズ」にあると位置づけられる。

AxelGlobe事業
AxelGlobe事業は、自社地球観測衛星「GRUS」シリーズによる地球観測データの提供および関連サービスを担う、同社の成長ドライバーとなる事業だ。
当第2四半期では、国内外の政府機関や企業との関係構築を進めながら、地球観測データの提供エリア拡大や利用用途の拡張に取り組んでいる。特に、海外市場においてはパートナーシップやMOUを通じた展開が進んでおり、国際的なデータビジネスへの足がかりが形成されつつある。
また、画像データ単体の販売にとどまらず、解析技術やアプリケーションと組み合わせた付加価値型サービスの検討も進行中だ。将来的には、複数機によるコンステレーション運用を前提とした観測頻度の向上や、安定的なデータ供給体制の確立により、継続収益型ビジネスへの移行が期待される。
AxelGlobe事業は現在、事業拡大に向けた「仕込み」の段階にあり、衛星運用機数の増加とともに、収益性改善が見込まれるフェーズへと移行していく見通しだ。

財務状況・資金調達の状況
アクセルスペースホールディングスは、2026年5月期第2四半期末時点で109億円程度の現預金を確保しており、足元の事業運営において資金面で大きな制約を受ける状況にはない。これは、上場を通じて得た資金を背景に、研究開発や組織体制の拡充といった将来成長に向けた取り組みを継続できる環境が整っている。
加えて、政府系プログラムによる支援を事業推進に取り込みながら、自己資金の消耗を抑えた形で投資を進めている点も特徴的だ。民間資金だけに依存しない資金構成は、開発期間が長期化しやすい宇宙ビジネスにおいて、事業の持続性を高める要素として評価できる。
将来性
アクセルスペースホールディングスの将来性は、衛星の開発・製造から運用、地球観測データ提供までを一貫して手がける事業構造に支えられている。
防衛・政府関連案件への参画により中長期的な需要が見込まれるほか、複数機によるコンステレーション運用が進めば、観測頻度やサービス価値の向上が期待される。
現在は先行投資が続く段階にあるが、受注残高の積み上がりと安定した資金基盤を踏まえれば、将来的な収益化に向けた道筋は徐々に明確になりつつある。
さいごに
アクセルスペースホールディングスは、短期業績よりも中長期の事業基盤構築を優先するフェーズにある。
受注残高の積み上がり、防衛・政府案件への関与、そして十分な手元資金を踏まえれば、今後は「いつ収益化フェーズに移行するか」が最大の注目点となる。
日本発の衛星運用企業がどこまで事業規模を拡大できるかを占う上で、引き続き注視すべき存在と言えるだろう。
また、同社は現在、複数のポジションで人材を募集している。興味のある方はこちらからご確認いただきたい。










