衛星事業が超手軽に!?アクセルスペースの「AxelLiner」とは
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株式会社アクセルスペースが開発する「AxelLiner」は、小型衛星の開発や打ち上げを提供するサービス。

複雑な衛星プロジェクトのプロセスをパッケージとして受け取り、手間や時間・コストを省くことで、実際に宇宙空間で行いたい「ミッション」のみに注力できるという魅力的なサービスだ。

2024年第一四半期に、同サービスを実証する衛星の初号機「Pyxis」が、SpaceX社のロケット「Falcon9」によって打ち上げられることがすでに決定している。

今回は、そんなAxelLinerやその初号機の実証について、ご紹介する。

AxelLiner開発の背景

人工衛星が提供するデータは多岐に渡り、あらゆるビジネスの可能性を広げるものである。

しかし、人工衛星を利用したビジネスを開始するためには、人工衛星を調達しなければならないケースが多い。

人工衛星を調達する方法は大きく分けて2つ。自社で開発する他社に開発を依頼する、この2つだ。

前者の場合、当然のことながら、高い技術力が求められる上、相当な時間や労力、コストがかかると予想される。

後者の場合も時間や労力、コストがかかることはさることながら、人工衛星や宇宙利用に関する技術、制約、仕組みの理解が最低限無ければ、適切な依頼も難しい。

また、人工衛星の調達以外にも、打ち上げロケットの調達、許認可の取得なども必要になってくる。

そのため、限られたリソースの中で、本来すべき業務に取り組むことができないなどといった課題も生じる。

これらの課題を解決するために開発されたのが、「AxelLiner」である。

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AxelLinerが提供するものとは

AxelLinerでは、様々なミッションに対応可能な衛星制御システムに顧客の要望を適合させることで、衛星の調達または開発を行う。利用にあたって必要なプロセスは、大きく分けて以下の4つ。

  1. 実現可能性の確認
  2. 技術的な調整
  3. 製造から打ち上げ
  4. 衛星利用の開始

である。さらに、

  • 政府の許認可の取得
  • 電波の周波数の確保
  • 打ち上げロケットの調達
  • 衛星の輸出入の管理(海外で打ち上げる場合)
  • 地上アンテナの手配
  • 衛星運用における自動運用システムの提供
  • 宇宙保険の手配

といった煩雑な手続きが全てパッケージ化された上で、一つの商品として提供される。

0からの衛星開発と比較すると、細かい要望が通らない可能性もあるが、圧倒的な低コスト開発期間の短縮、といったメリットを得ることができる。

開発スピードとしては、打ち上げやサービス開始前の機器チェック、初期運用の期間を考慮して、6カ月から10カ月程度で衛星を量産したい考えだ。

「サービスインまでに3年」とも言われている宇宙業界だが、受注から軌道上でのビジネスサービスインまでを最短1年未満での達成を目指す。

もしこれが実現できるのならば、衛星業界にイノベーションが起きるに違いない。

AxelLinerの特徴

AxelLinerの大きな特徴は、ものづくりに関する最新・最先端の知見を取り入れているところだ。

アクセルスペースは、機械部品の製造・販売を手掛けるミスミグループと、精密切削加工技術に特化した由紀ホールディングスと提携し、「次世代宇宙機製造アライアンス」を発足。

非宇宙製品の量産ノウハウの導入徹底的なDX化の推進無要なマージンの排除により、高品質・迅速な衛星製造を可能にする。

多様なミッションに対応可能な衛星を量産し、要求に迅速に対応することが提携の目的だ。

ソニーとも共同研究、AxelLinerの実証衛星初号機

2024年に打ち上げが予定されているAxelLinerの実証衛星初号機「Pyxis」で行われる実証は3つ。

衛星の制御システム自動運用システムの開発及び軌道上実証と、宇宙機製造アライアンスによる衛星製造体制の構築である。

加えて、ペイロードには、ソニーの通信規格であるELTRES™に対応した衛星無線実験システムを搭載。通信システムの技術実証を行う予定だ。

ソニーとアクセルスペースは、共同してペイロードの開発衛星システムへの接続に取り組むという。

アクセルスペースの、Pyxisのプロジェクトマネージャである杉本和矢氏は、以下のようにコメントしている。

AxelLiner初号機では、汎用衛星バスを確立するとともに、量産に向けた製造アライアンス企業と連携した製造プロセスや自動運用システムの構築などの、衛星そのもの以外の開発プロセスの構築にも非常に力を入れています。初号機にソニーグループ様のELTRES受信機というミッションを搭載し、軌道上実証をすることで、バスの汎用性と運用のUXの面において、多くの実績と経験が得られるものと考えています。初号機がAxelLinerのロケットスタートとなるよう全力で取り組んでまいります。

さいごに

宇宙産業の今後の市場規模の拡大に熱い視線が向けられている。

しかし、現在、宇宙や衛星の知識を持つ人や開発資金が圧倒的に足りていない。

故に、新規プレーヤーが事業を始める上での参入障壁が極めて高い。

仮に衛星を製造するとなったとしても、通信システム、エンジン、軌道投入位置の検討、打上げ時期と場所の考慮... 考え出すとキリがない。

AxelLinerは、このような課題を、パッケージ化した商品として、提供することで解決する。

まさに、旅行会社のパッケージプランのような仕組みだ。

これまでにこのようなサービスが確立されていなかったことを考慮すると、AxelLinerの発展は、日本の宇宙産業に大きな変化をもたらすものであると言えるだろう。

今後の活躍に期待だ。

参考 :

アクセルスペースの新サービス「AxelLiner」、実証衛星初号機の軌道上実証決定

アクセルスペースの「AxelLiner」実証衛星初号機Pyxisの軌道上実証に向けてソニーグループ株式会社と共同研究を実施

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