「JPXスタートアップ急成長100指数」構成銘柄に宇宙企業が3社選出

2026年2月13日、日本取引所グループ(JPX)は、新たな株価指数「JPXスタートアップ急成長100指数」の詳細を公表した。日本の株式市場に上場する企業の中から、今後の成長が期待される企業群に焦点を当てた新しい指標である。

本記事では、「JPXスタートアップ急成長100指数」の概要と、組み入れられた宇宙企業3社の特徴などについて整理する。

※本記事での「宇宙企業」は宇宙事業を中心に展開している企業のみで、事業の一部として宇宙事業をしている企業は含んでおりません。

「JPXスタートアップ急成長100指数」の概要

JPXスタートアップ急成長100指数は、日本の株式市場に上場する企業のうち、売上成長率や事業拡大の余地などを考慮し、今後の成長が期待される企業を選定して構成される指数である。

従来、日本市場では大型企業中心の指数が主流であったが、本指数はスタートアップや新興成長企業に焦点を当てている点が特徴である。資本市場としても、新しい産業領域への資金供給を促進する狙いがあると考えられる。

指数は浮動株時価総額をベースに算出され、2026年3月9日から指数配信が開始される予定となっている。これにより、投資家は日本の高成長企業群の動向を、一つの指標として継続的に把握できるようになる。

指数に組み入れられた宇宙企業3社

今回の指数では、宇宙分野から以下の3社が選定された。

  1. ispace
  2. Synspective
  3. QPSホールディングス

小型衛星や月面開発、地球観測といった分野で事業を展開しており、日本の宇宙スタートアップを代表する企業である。以下では、それぞれの企業について紹介する。

1|ispace

ispaceは、月面輸送サービスの実現を目指す日本発の宇宙企業であり、月着陸船の開発や月面探査ミッションの実施を通じて、将来的な月面経済圏の構築を視野に入れた事業を展開。本社は東京にあり、日本、ルクセンブルク、米国の拠点を軸に国際的な事業体制を構築している。

同社は、月面へのペイロード輸送やデータ取得サービスを主な事業領域としており、民間企業や政府機関の需要を取り込むことで、月面輸送を継続的なビジネスとして成立させることを目標としている。

近年は複数の月面ミッションを段階的に進めながら、将来の資源利用やインフラ構築を見据えた技術開発を続けており、日本を代表する月面開発企業の一つとして注目されている。

ispaceの月面着陸機
ispaceの月面着陸機(ispaceのリリースより)

2|Synspective

Synspectiveは、小型合成開口レーダー(SAR)衛星の開発・運用と、取得したデータを活用したソリューション提供を行う宇宙スタートアップである。2018年に設立され、独自の小型SAR衛星「StriX」シリーズによるコンステレーション構築を進めている。

SAR衛星は天候や昼夜に関係なく地表観測が可能であり、災害対応、インフラ監視、安全保障など幅広い分野で需要が拡大している。Synspectiveは衛星の量産体制の整備を進めるとともに、データ解析サービスの強化にも取り組んでいる。

近年は海外企業との提携や受注残高の増加も見られ、地球観測ビジネスの国際市場で存在感を高めつつある。

Synspectiveが開発する小型SAR衛星 StriXシリーズのイメージ画像
Synspectiveが開発する小型SAR衛星 StriXシリーズのイメージ画像(Synspectiveのリリースより)

3|QPSホールディングス

QPSホールディングスは、九州大学発の宇宙スタートアップで、小型SAR衛星「QPS-SAR」シリーズを開発・運用している企業である。同社は多数の小型衛星による高頻度観測を特徴としており、将来的には数十機規模のコンステレーション構築を目指している。

衛星は比較的小型でありながら高分解能の観測能力を持ち、船舶監視、災害観測、防衛用途などへの応用が期待されている。近年は打ち上げ機会の増加に伴い、軌道上の衛星数も着実に増えている。

政府関連案件や海外市場への展開も進めており、日本のSAR衛星分野における主要プレーヤーの一つとなっている。

小型SAR衛星 QPS-SARのイメージ画像
小型SAR衛星 QPS-SARのイメージ画像(QPS研究所のリリースより)

指数組み入れで宇宙の資金調達は変わるか

日本の宇宙スタートアップはこれまで、政府補助金や研究開発支援に依存する割合が高いと指摘されてきた。しかし近年は、上場による資金調達や海外投資家の参入など、資本市場からの資金供給が徐々に拡大している。

今回の指数への組み入れは、宇宙企業が「成長産業を担う企業」として認識され始めたことを示す象徴的な動きともいえる。

海外に目を向けると、Planet LabsやRocket Labなど、宇宙企業が株式市場で資金調達を行う事例はすでに一般的になっている。日本でも同様の流れが進めば、衛星コンステレーションや月面開発といった大規模プロジェクトへの投資環境が整っていく可能性がある。

さいごに

JPXスタートアップ急成長100指数に宇宙企業が3社組み入れられたことは、日本の宇宙産業が新しい成長分野として市場から認識され始めていることを示す出来事といえる。

宇宙ビジネスは依然として開発投資の比重が大きく、短期的な収益性だけで評価することは難しい。しかし、地球観測、通信、月面輸送といった分野は、長期的には社会インフラの一部となる可能性を持つ。

資本市場がこうした企業をどのように評価し、どの程度の資金を供給できるかは、今後の日本の宇宙産業の成長速度を左右する重要な要素となるだろう。

参考

「JPXスタートアップ急成長100指数」の算出・公表開始について(株式会社JPX総研, 2026-02-17閲覧)

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