2024年1月18日、衛星データを利用して農業や環境における課題解決を目指すサグリ株式会社が、令和6年能登半島地震を受け、石川県内において衛星データによる農地の生育・土壌分析アプリ「Sagri」を無償提供することを発表した。
被災地域で農業生産に営む方々が1日も早く営農活動を再開できるようにするための支援だという。
本記事では、生育・土壌分析アプリ「Sagri」やその支援内容についてご紹介する。
サグリ株式会社とは
サグリ株式会社は2018年6月に兵庫県で創業した岐阜大学発のインパクトスタートアップ企業。
インパクトスタートアップとは、社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と持続的な経済成長を目指す企業だ。岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方を体現する存在として注目されはじめている。
同社はこれまで、イノベーションの担い手となるスタートアップを官民一体となって集中的に支援する「J-Startup」および「J-Startup Impact」に選定されるなど、様々な功績を収めてきた。
事業では、衛星データ×AI×区画技術で農業や環境における課題を解決。
衛星データをAIで解析することで課題解決を行う企業は多く存在するが、同社はこの技術に区画技術を組み合わせた。
農地を一定基準で区切りいくつかの長方形に分ける農地の区画化は、スマート農業でデジタル化されるあらゆるデータを保持する基盤としても期待されている技術。
同社は機械学習(AI)を活用した自動区画化技術で特許も取得している。
そんな同社が提供するサービスは以下の3つ。
- アクタバ:耕作放棄地が一目でわかる、自治体向け農地パトロールアプリ
- デタバ:農地で申請通りの作物が栽培されているか確認する作付け調査を簡単に効率よく行う自治体向けアプリ
- Sagri:圃場の状態を見える化する圃場管理アプリ
今回は、「Sagri」を石川県で無償提供することで、令和6年能登半島地震の被災地域の農業生産者を支援するとのことだ。
農地の生育・土壌分析アプリ「Sagri」
「Sagri」は2022年8月に公開されたサービスで、北海道新篠津村や兵庫県丹波市で実証を行ってきた他、JA秋田しんせいなどにも提供されてきた。
「Sagri」の特徴
同アプリの特徴は以下の3つ。
生育状況を地図上で一気に把握
登録した農地の生育状況を地図上で把握し、優先的に作業が必要な箇所を一目で判断可能。
また、圃場ごとに過去の生育状況も遡って確認することができる。
土壌解析データで肥料の量を調節
土壌解析データで場所ごとの土の状態を、pH、CEC、TCなどの指標ごとに確認可能。
このデータをもとに土壌の状態に合わせて適切な量の肥料を散布することができ、輸入に頼っているため価格が高騰している化学肥料のコスト削減に貢献する。
圃場を登録するだけですぐに閲覧
分析機関に依頼すると2週間~2か月ほどかかる土壌解析を、アプリで農地を一度登録するだけですぐに利用できる。
1haまでは誰でも無料で利用可能だ。
スマートフォンでの使用やLINEでの無料相談も可能
「Sagri」は手軽に圃場に持ち運び現場での圃場管理ができるよう、パソコンだけでなくスマートフォンでもWebアプリとして提供されている。
また、LINEの公式アカウントに登録することで同アプリの情報を受け取ったり、アプリ活用をする上での無料相談・質問をすることも可能となっている。
支援内容について
「Sagri」は本来、1ha以上は有料プランであるが、石川県では30haまで無料でご利用いただけるように提供するとのこと。
下記のメールアドレスまで「令和6年能登半島地震支援の件」と入力しお問い合わせすると、後日、同社より案内がくるという。
contact@sagri.co.jp
また、実際に「Sagri」のサイトからログインまたはサインアップを行うことで、1haまでは試しに利用することも可能だ。
さいごに
いかがでしたか。
復興支援を行う企業が紹介されているインパクトスタートアップ協会の記事にも掲載されており、情報を確認することが可能となっている。
是非、合わせてご確認いただきたい。
令和6年能登半島地震により被害に遭われた皆様へ(インパクトスタートアップ協会より)
参考
令和6年能登半島地震を受け、サグリは石川県内において衛星データによる農地の生育・土壌分析が可能なソリューション「Sagri」を無償提供いたします。