
2026年1月21日、ジェフ・ベゾス氏が設立した米航空宇宙企業、Blue Origin(ブルーオリジン)は、衛星通信コンステレーション計画「TeraWave」を発表した。
TeraWaveは主に企業、政府機関、データセンター等を対象としており、大容量、そして上り速度と下り速度が同等の通信を提供するとともに、既存の地上インフラと組み合わせることで通信経路の多様化を図り、通信インフラ全体の信頼性向上に寄与することを目的として設計されている。
本記事では、TeraWaveの特徴を整理するとともに、同じくジェフ・ベゾス氏が創業に関わったAmazonの「Amazon Leo(Project Kuiper)」やSpaceXが展開する「Starlink」との違いについてご紹介する。
目次
TeraWaveについて
多軌道構成による高速・大容量ネットワーク設計
TeraWaveは、計5,408基の衛星から構成される大規模な衛星通信ネットワークである。低軌道(LEO)と中軌道(MEO)を組み合わせた多軌道構成を採用しており、それぞれに異なる役割が与えられている。
低軌道には5,280基の衛星を配置し、利用者や拠点に比較的近い位置から電波による通信を行うことで、最大144ギガビット毎秒(Gbps)の高速通信を提供する。
一方、中軌道には128基の衛星を配置し、光で直接接続することで、最大6テラビット毎秒(Tbps)の大容量通信を扱える構成としている。
低軌道衛星が電波通信により分散した利用者や拠点との接続を担うのに対し、中軌道衛星は、光通信を用いることで、衛星間を結ぶ大容量の通信経路に加え、地上拠点と直接接続し、拠点間で大量のデータをやり取りする役割も担う。これにより、高速な接続と、大量のデータを同時に流せる構造を両立させている点が、TeraWaveの特徴だ。

企業・政府向け通信インフラとしての位置付け
TeraWaveは、主に企業やデータセンター、政府機関向けに業務上重要な通信を担うインフラとしての利用が想定されている。
企業や政府機関、データセンターでは、拠点間で大量のデータを継続的かつ安定してやり取りする必要がある。一方で、地上の光ファイバー網は、地域によっては敷設コストが高く、複数の通信経路を確保することが難しいケースも少なくない。
TeraWaveは、こうした課題に対し、光ファイバーを補完する通信経路として機能することを狙っている。既存の高容量インフラと接続しながら通信経路を増やすことで、障害が起きても通信を維持しやすい構成を実現する。利用者の規模は数万を想定している。
Amazon LeoやStarlinkとの違い
TeraWaveとAmazon LeoやStarlinkの違いは、想定する利用者と通信の役割にある。
Amazon LeoやStarlinkは、家庭や企業などの一般ユーザーにインターネット接続を提供することを主目的とした衛星通信ネットワークであり、動画視聴やウェブ利用といった下り通信が中心のブロードバンド接続を想定している。そのため、上りと下りの速度が対称ではない用途設計となっている。
これに対しTeraWaveは、企業・政府機関・データセンターが必要とする大容量かつ上り下り対称の通信を支えるインフラとして位置付けられている。
このように、同じ衛星通信であっても、Amazon LeoやStarlinkが一般ユーザーの端末にインターネット接続を提供することを主な役割としているのに対し、TeraWaveは利用者向け通信も提供しつつ、特に企業や政府の拠点間で大容量の通信を扱う用途に重きを置いたネットワークである点が大きな違いだ。
さいごに
TeraWaveは、衛星通信を一般向けインターネットの延長として提供するものではなく、企業や政府が必要とする大容量かつ双方向の通信を支える基盤として設計されたネットワークである点に特徴がある。
通信速度や衛星数といった数値だけで評価するのではなく、どのような通信需要を満たすことを目的としているのかという観点から見ることで、TeraWaveの位置付けはより明確になる。
なお、衛星の打ち上げおよびネットワーク展開は、2027年第4四半期から段階的に開始される計画だ。








